【生きづらさの原因】機能不全家族とは?アダルトチルドレンとの関係
前回、アダルトチルドレンの存在を知るための記事を書きました。
この記事の中で【機能不全家族】【機能不全家庭】というワードが出てきますが、今回はその解説です。
【機能不全家族】とは?
【機能不全家族】【機能不全家庭】とは、家族としての機能が果たされていない家族の事を指します。
かみ砕いて説明すると、家庭内で一番弱い立場の人間は子供です。
その子供が、適切な養育を受けられていなかったり、家庭内の暴力被害にあっていて、尚且つ保護もされていなかったり、必要な愛情を注がれていなかったり、このように子供が健康的に育てる環境ではなく心もはぐくむ事が出来ない状態のことを【機能不全家族】と呼びます。
そして、大事なのは『大人から見て、機能不全家族か』ということではなく、『子供から見て、機能不全家族だったか』ということです。
子供視点で見る【機能不全家族】
大人になって「自分はアダルトチルドレンだったんだ」と気づく為には、自分が機能不全家族の中で育ったのかということ明確に思い出さなければなりません。
ただ、その事を考える脳はすでに大人になっていて、子供視点で考えてみるということを忘れてしまいがちです。
自分の子供時代にどんなことがあり、どんな気持であったのか、それを思い出すことはその物語がつらく悲しいものであればあるほど苦しい行為だと思います。
目に見て分かりやすい問題としては、DVなどの暴力的行為がありますが、これは直ちに保護される必要がありますし、大人から見ても異常に気付く可能性は高いです。
ですが、精神的虐待・心理的虐待は他所からはわかりづらく、子供自体もそれが虐待だとわからないまま心は壊れていき、将来生きづらさを感じる原因につながってしまいます。
少し難しいかもしれませんが、あなた自身が子供の頃に戻りどのような状況で過ごし、何を感じていたかを思い出してみてください。
精神的虐待・心理的虐待の問題
目に見えない虐待は気づくことが難しいです。
そして親自身も直接手を出しているわけではないので、自分が虐待をしているなんていう意識はありません。
子供時代に自分の意志でその状況から逃げ出すことが出来ればいいのですが、それも現実的には難しい問題でしょう。
洗脳や毒といった言葉で表現するように、それは子供の心その物を支配し自由を奪うことであり、自分の置かれている状況から逃げ出すことによって「もっと酷い目にあってしまうんじゃないか」という考えを持ってしまうからです。
ひいては、「良い子」を演じて耐える事が最善だと思ってしまうのです。
精神的虐待・心理的虐待の例(子供視点)
- 大声を出して威嚇したり、脅したりしてくる
- 過干渉
- 子供の前で夫婦喧嘩をする
- 夫婦間のDVを子供の前で行う
- 否定する言葉を使われる
- 兄弟や姉妹の間で差別をされる
- 他所の子と比べられる
- 無視する
- 褒められない
- 親の思い通りにさせようとする
- ネグレクト
この様な状況下で育ったのであれば、精神的虐待を受けていたと考えられます。
この他にも、親が情緒不安定だったり長く体調が悪い時もしくは片親などで、子供が小さい時からが家事をしなければならないことも精神的虐待に含まれる場合もあります。
このような虐待を行う親のことを毒親と呼んだりしますが、以前に毒親と呼ばれる存在について記事を書きましたので、そちらもお読みいただけるといいかと思います。
機能不全家族の特徴
アメリカに「ジャネット・G・ウォイティッツ」という小説家がいるのですが、この人の著書に【アダルト・チルドレン—アルコール家族問題で育った子供たち】という本があります。
この本には「機能している家族」と「機能不全家族」についての特徴が書いてあります。
私なりにまとめてみますと、「機能している家族」というのは
- 家族の団らんがある
- 親子ともに笑顔がある
- 過度な束縛はなくそれぞれのルールを寛容に受け止められる
- 子供には子供の役割がある事を親も理解している
- 状況によって柔軟である
ホームドラマで見る様な、幸せな家庭象を思い出してみるのが簡単かもしれません。
逆に「機能不全家族」の特徴は、上に書いたものとは正反対のものを指します。
ただ、このような状況に対してあなた自身が強いトラウマを持っていなかったり、大きなストレスを感じていなかったりするならば、それは【機能不全家族】とは言えなくなります。
【機能不全家族】とは家族のありようを、あなた自身が決める言葉であり他人に指摘されるようなものではありません。
必ずしも、このような状況が機能不全家族であるとは言えないのです。
機能不全家族に見られる暗黙のルール
子供が安心できる場所というのは本来であれば親の元にある事ですが、機能不全家族の場合はそうではなく「愛されず、リラックスできない場所」「甘えたりすることは許されない事」として認識します。
それを子供が育つ環境でみていくと【3つの暗黙のルールが存在する】とされています。
- 話すな
- 感じるな
- 信頼するな
以上の3つが暗黙のルールとして共通した特徴があるようです。
言葉だけで見ていくと少しわかりづらいですが
①の【話すな】は、親との会話がなかったり、自分の意見を否定され続けた場合、言ってもしょうがないと感じてしまうことの様です。
②の【感じるな】は、感情を表に出してはいけないという意味です。
親の機嫌を損ねないよう自分の本当の気持ちや感情は心の奥深くにしまい込んでしまうので、感情自体がなくなっていくことです。
③の【信頼するな】は、本来誰よりも信用できる存在の親が、信用できない存在になっていたことでだれも信用してはならないというように思ってしまうという意味のようです。
まとめ
子供が子供らしく、あるがままに健やかに成長していくには親にも知識が必要であるということだと思います。
それは子育ての技術や上手い下手ということではなく、親として子供と一緒に成長しそれを分かち合い喜ぶことが出来ることが知識に繋がっていくのだと感じます。
子育てに正解はありません。
正解はないですが、間違いはあります。
間違いをおかしてしまうことよりも、それを気づかない認めない事が問題なのであり、それによって子供はさらに苦しい思いをすることになるのです。
「私には子育てに絶対の自信がある」「俺は間違ってない」などとは思わずに、どうか今一度子供のことをちゃんと見つめてあげてください。
子供は親のの写し鏡といいます。
子供を見つめることは、自分を見つめる事にもなるのです。
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アダルトチルドレンとは
毒親とは
過干渉・精神的虐待
ジャネット・ウォイティッツ著 アダルト・チルドレン
タイトルとしてはアダルトチルドレンの本来の意味であるアルコール依存症の副題がついていますが、限定的な内容であるとは限らず、アダルトチルドレンを理解するにはとてもいい本です。