【うつ病なんかすぐ治るって言わないで】うつ病の治療期間の話
1.うつ病ってすぐ治るの?
いいえ、うつ病はすぐには治りません。
このブログではうつ病や精神疾患・メンタルヘルスについて、私なりの考えを含めた情報を発信しています。
それと同時に、Twitterでもうつ病や精神疾患を患っていて苦しんでいる方とも繋がりをもてはじめました。
病の中にあっても、皆さんは着実に希望をもって前に進んでいて、同じく苦しみの中にある私も大変励みになります。
ですが、中にはうつ病や精神疾患などの病気に対して、心無い一言や間違った情報を浴びせていく人がいるのも事実としてありました。
私を含め、心の病気にかかってしまった人たちは、同じ苦しみやつらさを共有することで、新たな希望を持ったり、進む道を見つけたりする事が出来るのだと思っています。
そんな中の出来事です。
「うつ病はすぐに治る」というワードが目に入りました。
ちょっとこれは、いただけない。
私的に、この発言はありえません。
1.うつ病の治療期間
うつ病の治療において風邪などとは違い、熱が下がったからもう大丈夫というような判断は絶対にできません。
それは、うつ病の症状には波があり、ただ憂鬱な気分が続くだけではなく、日によっては元気な振る舞いを出来る日もあるからです。
波があることもそうですが、うつ病は様々な症状が複雑に現れます。
これらの症状に加え、ほかの精神疾患も同時に発症する場合もありますので、お医者さんも診察や診断が難しく経過を観察しなければいけないものでしょう。
病初期と呼ばれるうつ病の症状が強く出ているのは約2か月から3か月ほどの期間があり、うつ病の治療は抗うつ薬などの投薬治療が一般的ですが、薬の効果が現れるまでにも2週間から6週間ほどかかるとされています。
また、人によってうつ病の症状が違うように、薬の種類や量なども人によって処方のされ方が違います。
当然のことながら、人によって回復するまでの期間や回復の仕方も違ってくるのです。
うつ病は再発・再燃の確率が高い病気であることから、ある程度回復したと思っても、また症状が悪化していく場合もあります。
認識として、うつ病の治療期間は早い人でも3カ月から4カ月ほど、長い人になると1年以上から数年に渡る治療が必要とされているようです。
そもそもが、うつ病の治療自体長期のスパンで考えられているものだということです。
2.うつ状態とうつ病の違い
混同して間違えがちな問題なのですが、うつ状態とうつ病は違うものとして理解しなければなりません。
一般的に広く使われる【うつ】とは、落ち込んでいて暗く気分が沈んでいる様な状態のことを想像するかと思いますが、このような症状を【抑うつ】と言います。
人間誰しも生きていれば落ち込むこともあるでしょう。つらいことや苦しいこともあるでしょう。なぜか涙が溢れてくることだってあるかもしれません。
上に貼った記事にはうつの症状の例が書いてありますが、普通に生活していてもこのような症状(症状の強い弱いは別にして)を感じたことは誰しもあると思います。
では、これらの症状を感じたら全員うつ病と診断されるのでしょうか?
そんなわけありませんよね。
まず上記のような状態を【うつ状態】(抑うつ状態)もしくは【軽症うつ病】と言います。
誰しもが感じる憂鬱な気分などは、数日から長くても1週間ほどで元の状態に戻ると思います。
ですが、うつ病は気分障害という病気ですから、憂鬱な気分が重く長く続いていていないとうつ病だとは診断されません。
その判断基準は上記のような症状が複数存在し、その状態が2週間以上続き生活に支障をきたすような場合にはじめてうつ病だと診断されます。
逆に考えれば、ずっと苦しい状態が続いていたのに病院に行った日は症状が治まっていた場合はうつ病とは診断されない事がある、ということでもあります。
3.軽はずみな言葉が傷つける心
「うつ病はすぐ治る」といった方は、本当にうつ病だったのかもしれません。
時間の長さは人それぞれ感じ方が違いますから、もしかしたら2か月3か月程度で完治し、それを「すぐ治る」と言ったのかもしれません。
もしくは、うつ病を患っている人たちへ希望を持たせるために【すぐ】という言葉を用いたのかもしれません。
「気の持ちよう、考え方で治すことが出来るんだよ」と言いたかったのかもしれません。
ですが、数カ月苦しむことは【すぐ】でしょうか。
数年間治療し続けることは【すぐ】でしょうか。
死にたいくらいにつらく苦しい状態が続いていて、「すぐ治る」という張りぼての希望を見せられた後に本当の治療の長さを知ったら、その人はどう感じるのでしょうか。
【うつ病】は間違いなく治る病気です。
そこに間違いはありません。
ですが、簡単には治りませんし、すぐにも治りません。
治療に必要なのは薬だけではなく『休養』です。
1日休んだから平気?1週間も休んだからもう大丈夫?
違います。
頑張って耐えてきた時間と同じ分、もしくはその倍の時間休むぐらいの気持ちであるべきです。
『心』は目には見えません。だからこそ長い時間をとって休養しなければならないのです。
4.のすけから一言
すべての人が優しいわけではありませんし、私たちのような存在に寄り添ってくれる訳ではないことは十分に理解しているつもりですが、同じようにうつ病を経験し苦しんできたであろう人が、「何故そんなことを・・・」という気持ちになってしまいます。
私たちのような苦しみの中生きている人間は、誰よりも同じ苦しみを持つ人たちの見方であるべきだと思います。
そして、言葉の一つ一つが凶器になり、無残に無慈悲に心をにえぐる事も知っているはずです。
言葉に対して慎重になりすぎる必要はありませんが、口から放たれる前に、もしくは指が動いてしまう前に、一緒に考えてみませんか。
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